伊勢新聞

2019年5月21日(火)

▼四日市市と菰野町で2件、コンビニ店員が客から暴行を受けたのはたまたまなのだろうか。警察沙汰にはならなかったが、日常的に威嚇行為を受けているということか

▼全国的には投書欄や論説記事などでよく見かける。外国人店員への居丈高な振る舞いや、いらいらするが温かい目でみなければ、などの論調だ。客にも盗っ人に三分の理ぐらいの言い分はあるのだろう

▼県内の2件はどちらも接客態度をめぐるトラブルだが、四日市西署のケースは、その内容が報じられている

▼店内のイートインスペースでカップ麺を食べ、汁などが入ったままレジカウンターに置き、女性店員にマナー違反を注意され腹を立てたらしい。食べ残しは、手洗いなどに流さず「店員にお申し付けください」と注意事項がイートインには大体書いてある。食べ終わった時店員がどこにいたのかは分からぬが、客としてはレジカウンターに置けばいいと思い、店員は、脇のカウンターもあるのに、何も客が精算に並ぶレジカウンターに置かなくてもと思ったのだろう

▼この段階でどちらがどうということはないが、お互いむっとしたのはよく分かる。客はなぜ文句を言われなければならないのか、ふざけるなとカチンときて、店員はいきなり殴りかかってくるとは何様だと思ったのではないか

▼「お客様は神様です」と言ったのは歌手の故三波春夫だが、その言葉が独り歩きして真理のごとく伝わっている。この客もほんの少し毒されてはいなかったか。商は笑なり。売買は、ともに笑顔の対等の関係で、どちらも得をするのでなければならない。