<まる見えリポート>就労支援事業スタート 鈴鹿PAで障害者ら活動

【水やりなど花壇の手入れをする、就労支援事業所の利用者=鈴鹿市山本町の鈴鹿PA「PIT SUZUKA」で】

【鈴鹿】3月に開業した三重県鈴鹿市山本町の鈴鹿パーキングエリア(PA)「PIT SUZUKA」でこのほど、障害者の就労支援に向けた取り組みが本格的に始まった。同様の施設での行政を含めた継続的な支援体制構築への取り組みは全国的にも珍しく、同市健康福祉部障がい福祉課の北川清美課長は「たくさんの人が集まる場所で、障害者が働く姿を見てもらうことで、障害者への理解も深まれば」と期待を込める。

中日本高速道路からの申し出を受け、平成28年度から同市安塚町の障がい者アグリ就労人材センター(伊藤良一代表理事)とともに、農福連携事業による障害者の就労支援に取り組む市は先月、同人材センターと桑名市の中日本高速道路名古屋支社桑名保全・サービスセンター(志岐宣幸所長)の三者で「鈴鹿PAを活躍の場とした就労支援に関する協定」を締結。協定締結により三者が連携し、障害者が施設内の花壇の手入れや自作農産物販売などの軽作業に取り組める環境づくりを進め、将来の就業を支援することを取り決めた。

障害者らの活動拠点となる鈴鹿PAは、順調に集客数を増やし、連日にぎわいを見せる。3月17日の開業から5月15日までの入館者数は延べ約130万人で、一日あたりの平均は約1万5千人。中でもゴールデンウィーク期間中の5月3日には約4万2千人と、大規模サービスエリアとほぼ同規模の入館者数を記録した。

中日本高速道路名古屋支社関連事業部関連事業チームの古川泰平担当リーダー(46)は「一般道から利用できるぷらっとパークを使った利用者が多いのも特徴の一つ。地元の人にも愛着を持って利用してもらっている」と話す。

障害者の本格的な作業が始まり約1カ月。同人材センターの仲介で、参加を希望する障害者就労支援事業所は、1カ月単位で交代する仕組み。現在作業を担当するのは、同市算所三丁目の就労継続支援A型事業所ミルト鈴鹿。30代の市内利用者2人が指導員と一緒に週2、3回のペースで花壇の手入れをする。作業時間は1日2時間。

16日は水やりや枯れている花の撤去、花の入れ替えをした。濱田千登世指導員(36)は「普段は自動車部品に携わる作業が中心なので、外での作業はいい経験になる。『きれいにしてくれてありがとう』など、お客さんがたくさん声かけをしてくれるので、利用者のいい刺激になっている」と話す。一般客からトイレの場所やお土産の商品についてなど、作業中に利用者が多様な質問を受けることも多く、濱田指導員は「作業前には毎回施設を一周し、位置などを確認している」と、利用者が混乱なく対応できるよう工夫する。

古川担当リーダーは「細かいところまで手を抜かず、非常に丁寧な仕事をしていただいている」と評価する。

ほかにも、25日正午―午後4時まで、市物産協会の物販テントで自主製品の販売をする。3、4事業所が参加予定。当面は土曜日に開催する。

同人材センター事務局の小林卓さん(66)は「会員事業所にこだわらず、多くの事業所に参加してもらえれば」と呼びかけた。