伊勢新聞

2019年5月16日(木)

▼北方4島を巡り戦争発言をして丸山穂高衆議院議員が所属する日本維新の会に離党届を出し、同党は除名処分にするなどの騒ぎに乗じてか、あるいは危機感を強めてか、自民党が「『失言』や『誤解』を防ぐには」と題した〝失言防止マニュアル〟を「遊説活動ハンドブック」の号外として国会議員や参院選候補予定者に配った

▼〝安倍麻生道路〟の「そんたく」発言で副国交相が、「復興より議員が大事」発言で五輪担当相が辞任したばかり。参院選を前に失態続きで、手を焼いた執行部が何を考えるかは、県も自民党もそう変わらないということだろう

▼「失言」と「誤解」をひとまとめにしているのも、「不祥事」と「不適切な事務処理」とを一緒に扱う県に似ている。歴史認識、政治信条、LGBTなどについての個人的見解や災害、病気などへの配慮、身内と話すような雑談口調―などは、タイトルに使われやすい「強めのワード」として特に注意を呼びかける

▼いずれも政治家としての見識が問われるテーマ。力量など信頼していないし、さりとて基本から教えるのも難しいのだろう。「周囲の喝采に引きずられると、つい『公で言うべきことではない』ことを口走る可能性がある」「言葉遣いを第三者にチェックしてもらいましょう」

▼表面だけは取り繕いたいという幼稚園や保育園の発表会を思わせないか。職場で常にコンプライアンスを話し合い、何事も上司に相談という県のマニュアルを思わせなくもない。そこまで手取り足取りしなければならないのかと、自民党にもやはり、嘆きの声があるそうだ。