2019年5月8日(水)

▼十連休はどう過ごされただろうか。人によりさまざま。報道は昔ながらに旅行、行楽地のにぎわいなどに集中していたが、楽しみ方はますます多様化していよう。平成から令和をつないだ十連休であり、人それぞれ、記憶に残るものになったには違いない

▼代替わりで一番驚いたのば「令和」を巡る新聞の大騒ぎである。新聞記事は昭和50年代に西暦を採用する社が現れ、平成改元で一気に増えた。いわば捨てた元号でお祭り騒ぎをするのは節操がない気がしたが、国際比較で選択したがやはり元号には愛着があるということかもしれない。同慶の至り

▼平成回顧と令和展望がやはり連休中、最大の話題として報道されていた。節目節目に来し方を振り返り、未来に臨むことはいいことだ。毎日だらだらと、時に切羽詰まって生きてきたので特段反省も覚悟もないのは恐縮だが、昭和は戦争という全国民共通の体験があった。平和も外交も戦争を背景にした共通の意識があった

▼平成への改元は戦争を引きずることにピリオドを打つ機会となり、戦争を忘れ去る歩みだった気がする。先の天皇、皇后両陛下がその思いを持ち続け、償いの日々を過ごされたことは言うまでもないが、身近な政府でさえ意識を共有しているとは言えなくなっていた

▼環境、災害、自国ファーストやそんたく、統計不正からモリカケ問題や安倍麻生道路まで、平成も大きな問題が多発したが、戦争に比べ多様化は否めない。改元が前年号の問題を忘れ去る効果があることは昭和から平成への教訓だが、十連休を終えて、その兆候は見えていないか。