2019年5月6日(月)

▼14歳以下の子ども(外国人を含む)の数は38年連続の減少だった。育てにくい、育ちにくい環境が定着したということだろう

▼原因は多種多様だが、全国に共通する一端を県内の事例に求めると、昨年8月の県立高一男子自殺問題と、ブラジル国籍の六歳女児が一昨年8月、遺体で発見された事件ではないか。いずれも教訓は生きなかった

▼女児は姉の北勢児童相談所保護に伴い小学校に姿を見せなくなり、除籍となった。就学年齢にある外国籍の子どもうち、所在不明な約二割の一人になって一カ月後、自宅の車の中のプラスチック製箱から遺体として発見された

▼高一男子は、遺族がスマートフォンに残された他の生徒とのやりとりからいじめを疑い、学校に連絡。県教委が「いじめ重大事態」に認定した。同じ「重大事態」に認定した高三女児の場合は「対応に誤りはなかった」と裁判で争っているが、高一男子の場合はいじめ対策審議会を設置した

▼定期アンケートにいじめの痕跡は感じられなかったという。貝ノ瀬滋県教委特別顧問は総合教育会議でアンケートを取ればいじめの認知は「難しことはない」と語った。合わせて教員が子どもに積極的に触れること。勉強だけ教えていれば本分という考えは誤り。また、生徒の言語活動の充実も訴えた

▼それらが守られてのアンケートの見逃しだったか。結愛さん、心愛さんの死が衝撃を与えたのは残された言葉の重みだった。これだけの訴えを知る機会が少ないことも背景にはあったのではないか。沈黙する大勢の一人が高一自殺であったことも否定できない。