伊勢新聞

2019年4月21日(日)

▼アニメ「ルパン三世」の作者モンキー・パンチの死去に続き、四日市市出身の漫画家、小島剛夕と組んで漫画界に劇画というジャンルを確立した「子連れ狼」の原作者・小池一夫さんが逝った。この2人をつなぐ共通項が、ともに漫画週刊誌「漫画アクション」での活躍であることを知る人は少なくなったのではないか

▼2作品ともテレビ、映画でファン層を広げたが、初出は青年漫画「漫画アクション」。人気を二分したとされるが、小池さんは同時期に「高校生無頼控」など連載。ファン層は広かったのではないか。少年漫画の「巨人の星」の梶原一騎とともに、漫画の原作者という仕事も、広く知らしめた

▼昭和四、50年代の「漫画アクション」は、ほかに「柔侠伝シリーズ」「同棲時代」「じゃりン子チエ」「博多っ子純情」など、のちにアニメや映画、テレビドラマになる人気作品が続出。少年漫画を脱した青年の受け皿になった。平成に入って「クレヨンしんちゃん」ぐらいしかヒット作品に恵まれず、漫画週刊誌隆盛の中、劇画ファンは漫画を卒業、あるいは他誌へと離れていった

▼その後成人向け漫画雑誌に変身し間もなく休刊になったことには驚いたが、数年をして復刊した時はアニメ版「ルパン三世」のDVDが付録になり、再び青年漫画の道を歩き出したという。青春を同誌とともに歩んだ一人として健闘を祈りたい

▼モンキー・パンチについて17日、小池さんは「漫画アクションの初期に人気争いをしたライバルだった。淋しくなるなあ」などツイートし後を追った。思いは同じだった気がする。