伊勢新聞

2019年4月17日(水)

▼千葉県野田市の小4女児死亡事件を受け関係閣僚会議が、子どもの虐待訴えの情報元を保護者に伝えないことを決議した2月8日、県教委は1月に完成していた「県いじめ防止基本方針」改訂案に急きょ、児童のアンケート結果を保護者に開示しないことを追記することにして、検討作業を1カ月延長した

▼昨年8月自殺した県立高1男子生徒にいじめの疑いが出て、県教委は「重大事態」と認定。第三者で構成する県いじめ対策審議会が調査をしている

▼平成28年1月の県総合教育会議で、いじめがあるかは子どもが教員より知っていて、定期的アンケートで把握でき、そう難しくはないと言ったのは、中央教育審議会委員や内閣官房教育再生実行会議有識者委員を務めた県教委特別顧問である。それに基づいて県教委は定期的にアンケートを実施、個人面談もしていたが、確認されていなかった

▼アンケート様式、あるいはその分析能力に問題はなかったか。いじめ対策審は新たに全生徒を対象にアンケートを実施する方針。「可能な範囲で具体的な内容に近づけ、事実関係を確認する」という。県教委のアンケートが抽象的で、事実関係確認には役に立たぬと言っているようでもある

▼県教委は15日、教材「いじめ事例別ワークシート」の活用方法を冊子にまとめたと発表した。全小中高校に配布。廣田恵子教育長が「役に立つ教材ができた。一つ一つをかみしめながら授業してほしい」

▼作成は平成29年度。2年前だ。いじめ対策審の結果次第で欠陥教材とまでいかずとも大幅改正、追記が必要にならぬか。