伊勢新聞

2019年4月14日(日)

▼三重県は全職員に法令順守の誓約を定めた「コンプライアンス宣言」への署名をさせていた。押印は求めなかったようだが、なにやら現代版血判状の趣。「おのおのがた…」。アナクロニズムの香りがしてこないか

▼「いい大人が当たり前のことを署名して効果があるのか」の声がある一方で「気が引き締まった」という職員もいるというから、はたがとやかく言うことでないが、宣言は5年前に作ったのに蛇足程度の手を加えたようだ。あの時も、鳥羽港改修工事の公文書改ざん事件を受けてコンプライアンス推進チームを編成し、コンプライアンスハンドブックを作った

▼目玉は「コンプライアンス宣言」と「5つの心得」。名刺サイズ、二つ折りのカードに印刷して全職員に持たせ「信条」「志」を意味するラテン語からクレドカードと名付けた。週1回庁内放送で復唱。朝礼などでは読み上げて確認し合うことを奨励した

▼結果は、翌年の総括が「残念ながら」。推進チームの存続を決めた。ハンドブックは「コンプライアンス指針」として、例えば公用車使用の「好例」を示す―「1カ月前に公用車の予約を行ったが(予定が)延期となったので予約を取り消した」

▼業務改善案を顕彰することしの「MIE職員力アワード」に営繕課が応募したのは「公用車を確実に取得する方法」。2台ずつ予約し、課内で融通し合うという。配車担当の管財課が「良しあしの判断は避けたい」。テリー伊藤さんなら著書「お笑い三重県庁」をものにするかもしれない

▼庁内放送、読み上げから署名へ。さて効果がありますかどうか。