伊勢新聞

2019年4月13日(土)

▼大阪ダブル選に勝利し府知事と市長が入れ替わった2人はそろって会見し、大阪都構想へ再挑戦する息の合ったところを見せたが、橋下徹元府知事が提唱した当時の知事と市長は仲が良いわけではなかった。提唱の理由が二重行政の無駄の解消でもあった

▼政令市と道府県との関係はどこも似たようなものであることは、当選当時と現在の愛知県知事と名古屋市長の関係を見ても分かる。重なり合う施策が多い分、わずかな行き違いも大きくなり、担いでいるみこしのメンツも絡んで抜き差しならなくなる

▼県立一志病院の民間移譲方針が撤回されて2年。県と県都津市との運営形態の議論が一歩も進まないどころか、話し合いの席で議題にも上らないらしい。「トップ同士で責任ある結論を出してほしい」と市職員が言っているというのが、宮仕えのつらさと問題の核心ををよく物語っている。市長が「『病院の経営を一緒にやろう』というのは難しい」と大見えを切ってしまった以上、身動きできないのだろう

▼県の公共施設はほとんどが津市に設置し、特に文化政策は県任せだという意識が県にはある。市は、どうせ津市に設置する以外、県に選択肢はないと高をくくる傾向にある。県と市が主従関係にあった時は、県は市の考えなどお構いなしに県施設を計画し、一端を市に担わせた

▼知事と津市長が犬猿の仲とされることが少なくなかった。地方分権法制定で対等になり、総務省出身の前葉泰幸市長が登場して、表立った衝突になったとみられる。一志病院問題は、対等関係となった県と市の在り方が問われている。