伊勢新聞

2019年4月3日(水)

▼新元号の名前が決まっただけなのに、改元でもかくや、と思わせるフィーバー現象が起きている。四日市市の高齢者サロンで、80代の女性が「今日は平成最後の祈念すべき日」と言っていたそうだ

▼つくづく不思議な国民性だが、同じ人心一新の期待がかかる知事選挙の方は一向盛り上がりにかけるらしいが、こちらは不思議という人はいまい。現職と共産党推薦候補の対決の図式が前回選と同じ、すなわち新味がないからというのが本紙の分析だが、そういうことなら、財源難で新味のない県政ということも遠因か。舌戦を繰り広げるほどの争点が見当たらない

▼現職のポスターは握手をする2枚のスナップ写真。にっこりほほ笑む定番と違って斬新だが、相手は米国の前大統領のオバマ氏。伊勢志摩サミットから3年を経て、なお〝虎の子〟であるようだ。4月スターの県の人事・機構改革も県民に何かを問うほどのものはない

▼「コンプライアンス総括監」新設は、不祥事がいかに多いかを説明することになって、選挙には不向きだろう。「監」の役職は、階級を属人的に決められるが、次長級を充てた。部長級を起用した危機管理統括監とは力の入れ方が違うということか

▼それから女性登用。部長級異動に男性の顔写真しか並ばぬのは今や少数派だ。管理職の女性割合の目標10%を一昨年、2年前倒しで達成したが、されど10%、たかが10%である。一服感はむろん尚早だ

▼次長級も、昇格は1人か。課長級は8人前後いそうだが、職種の固定化が見られる。部長の異動がないのがそのことと無縁でなければ幸い。