伊勢新聞

2019年3月29日(金)

▼昨年を総括して前葉泰幸津市長が同年末、中学校教諭の酒気帯び運転や職員の買春逮捕などの不祥事が相次いだとして「職員の規律を正しく、不祥事を繰り返さないよう強く求めたい」

▼職員訓示ではなく記者会見での発言。「強く求めたい」のは市民が市長に対してではないかという気がしたが、だから、時を置かずに教育事務所の所長ら職員が不適切な会計事務処理で戒告処分を受けることになるのだと言っては言い過ぎか

▼前年度に完了した事業の支払いを、翌年度までかかったことにして翌年度予算で支払った。「緊急に対応しないといけない修繕が重なった。事務所内で解決しようとしたら時間が経過していた」と説明しているという。仕事に追われ、気づいたら年度をまたいでしまったということだろう

▼しかし、前年度予算の修繕費残高が不足していることを承知で発注した。添付した完成写真の日付は翌年度に書き換えた。前年度に完成していたことを示すメモが内部監査で見つかった。ケアレスミスみたいな当人らの説明が本当かどうか。本当であるかのように紹介した市教委の発表と合わせ、首をかしげたくなる

▼昨年の不祥事2件は刑法犯で、罰則は重いが個人の犯罪。会計事務の不適切処理は形式犯か虚偽記載で、刑事罰が課せられないものの組織的犯罪、隠ぺい工作のたぐいに連なる。ルール無視の事務処理が津市では横行し、たまたまメモが発見されて露見した可能性も否定できない

▼戒告処分で幕引きするのではなく、不祥事を繰り返さない服務規程の見直しを、前葉市長に「強く求めたい」。