伊勢新聞

2019年3月28日(木)

▼「娘の娘」が来春、小学校に入学する。「ランドセルはおばあちゃんが用意するものだ」と娘にきつく言われたと妻が苦笑した。中身の増量で、自分たちのころより大きく頑丈になり、小さい孫がかわいそうとも

▼そして色。男子が黒、女子は赤が定番だったが、孫の希望は紫。注文の期限がずっと早く、値段も張るらしい。テレビCMは男は黒、女は赤。好みの変化は広告会社の想定も超えているようだ

▼来春からの小学校の教科書は全教科に「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング=AL)を取り入れたことで現行の10・0%増。英語とプログラミングでさらに増える。ランドセルの大きさに変わりないか。詰め込む量が増えるのだろうと心配になる

▼ゆとり教育から反ゆとり教育へと、平成の学校教育は大きく揺れた。県にはそれに先立ち、高校の学力平準化を図る群制度実施から競争を促す同制度廃止への歴史もある。学校現場はその都度混乱から現実的安定の道を歩んだ

▼全国学力テストへの対応が県らしさを物語る。全国最下位レベルを受けて上位県を視察し、その模倣を念頭に工夫した結果、成績は急上昇したが、そこそこで伸び悩み感がある。器を大きくすることなく、新たな整理整頓法をルール化して乗り越え、創意工夫は停止した必然ではあろう

▼新学習指導要領が打ち出したALを具体的に教えるにはどうしたらいいか、混乱はしても、文科省か合格点を出した教科書が事細かに教えてくれる。学びの質が変わったとしてもルール通りに教え、学ぶスタイルに変化が起きるのかどうか。