三重県内で最も激戦の様相を呈しているのが桑名市・桑名郡選挙区。自民新人候補の山本佐知子が現職候補らに与えた影響は大きいようで、県議会最大会派「新政みえ」は司令塔の三谷を失う可能性も浮上している。
多くの候補は、元衆院議員(旧三重選挙区)で自治相を務めた故山本幸雄氏を源流としている。今回は孫の佐知子が登場し、多方面に散らばっていた幸雄氏の票が一定程度集約されつつある。
山本佐知子は平成28年の参院選で落選したものの、桑名市と木曽岬町で計約3万2千票を獲得。祖父の影響に加え、地域単位の集会の開催や辻立ちなど地道な活動に早い段階から取り組み、票を固めている。
最も厳しい戦いを強いられているのが、新政みえ代表で三重民主連合公認の三谷。現在の選挙区分になった19年の県議選以降、4年ごとに順位を落とし、27年の前回は最下位だった。
三谷は山本幸雄氏の元秘書だが、自身に流れていた同氏の票が佐知子に移るのは避けられない。最大会派の代表に君臨していた三谷が不在となれば、県議会そのものにも変化が訪れることになる。
自民現職の山本勝も前回ほどの得票は望めない情勢。幸雄氏の票や自民票が一定程度山本佐知子に流れているとみられる。同じ山本同士、自民公認同士だが仲良く票を分け合える状況にはないようだ。
倉本も初当選した前回、幸雄氏の票を一部取り込んでいたとみられる。前回は2桁しか届かなかった木曽岬町で票を伸ばし、三谷の地盤に侵食する。独自候補のいない共産票の受け皿も狙う。
前回トップ当選の小島は、三教組の組織票だけでなく、選挙区内唯一の女性候補として幅広い女性票も獲得していた。山本佐知子の参戦で女性候補が2人になり、その強みが半減している。
一方、貝増吉郎元県議(65)は3月5日の立候補予定者説明会に姿を現したものの、いまだに正式な出馬表明をしないまま沈黙。告示日が迫る中、市街地などで他の候補者並みにポスターを張り出している。
立候補した場合、自民同士の争いが増すため、倉本や小島、三谷には追い風となる。ただ、自民党県連幹部は「山本佐知子が票を固めているので、取れて3千票。出馬は難しいのではないか」とみている。