<みえの平成史>伊勢志摩サミット 世界へ知名度向上

【伊勢神宮を訪れ、正宮前で記念撮影する(左から)トゥスクEU大統領、イタリアのレンツィ首相、ドイツのメルケル首相、オバマ米大統領、安倍首相、フランスのオランド大統領、キャメロン英首相、カナダのトルドー首相、ユンケル欧州委員長=平成28年5月26日、伊勢市で】

主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が平成28年5月26、27の両日、志摩市を主会場に開かれた。安倍晋三首相とG7(先進7カ国)、EU(欧州連合)の首脳らが伊勢神宮を訪問。志摩観光ホテルで世界経済をテーマに議論を交わし、G7伊勢志摩首脳宣言を採択した。

サミットの開催地に名乗りを挙げたのは、27年1月。8候補地の中で最も遅かった。同年6月5日に安倍首相が開催地を伊勢志摩に決めたと発表した。警備しやすい地形であることなどが理由とされた。

県民にとって前代未聞の歴史的行事の開催が決まり、準備が急ピッチで進んだ。自治体や企業など約140団体でつくる伊勢志摩サミット県民会議を中心に、首脳らの受け入れに向けた計画が進められた。

開幕を迎えた26日。伊勢市内の沿道には大勢の県民が詰め掛けた。首脳らは伊勢神宮の内宮に到着すると、安倍首相の案内で宇治橋を渡り、参道を進んだ。神宮スギを記念植樹した後、正殿へ向かった。

最終日の27日には、安倍首相が議長国の首脳として賢島宝生苑(志摩市)で記者会見。世界経済や国際秩序に深刻な脅威をもたらすテロの増大に警戒感を示す「G7伊勢志摩首脳宣言」を公表した。

開催に当たって、県の実質的な負担は49億円に上った。知名度の向上により開催年の観光客は増加したものの、経済効果は314億6千万円で、県の試算を138億5千万円下回る結果となった。