<みえの平成史>二度の式年遷宮 増えるメディア露出

【伊勢神宮で営まれた「遷御の儀」で絹の幕に囲まれ新正殿に向かうご神体=平成25年10月2日夜、伊勢市で】

20年に一度、社殿などを建て替える伊勢神宮の式年遷宮。最初の神事から8年掛けて行われる。平成の30年間では5年と25年に、ご神体を新社殿に移すクライマックスの「遷御の儀」が行われた。約1300年の歴史を持ち、25年の式年遷宮で62回目を数えた。

伊勢市の出版社「伊勢文化舎」の代表を務める中村賢一さん(69)は、平成の二度の式年遷宮を現場で追い続けた。5年と25年の違いとしてメディアへの露出を挙げ「25年の式年遷宮は大きく取り上げられたことで、多くの人が伊勢神宮を身近に感じるようになった」と振り返る。

25年の年間参拝者数は、統計史上過去最多の約1420万人。中村さんは背景に20年のリーマン・ショックや23年の東日本大震災など、社会や経済を大きく揺るがした事象を挙げ「多くの人が癒やしを求めていた。パワースポットブームもあり、神社への関心が高まった」と推測する。

次の式年遷宮に向け、懸念されるのは人口減少。社殿のご用材を運ぶ「お木曳(きひ)き」や、正殿の敷地に白石を敷き詰める「お白石持」行事の担い手を務める市民の数が減る中、「全国から協力者を募ることが必要になってくるのではないか。木遣り歌など、若者への技術の継承も課題だ。時代が変わっても絶やしてはいけない伝統がある」(中村さん)。

次回の式年遷宮の始まりは6年後に迫っている。