2019年3月1日(金)

▼県の予算案というのは分かりにくい。財源難で県債管理基金に積み立てを見送る禁じ手を2年連続選択したと言いながら、一年目の30年度最終補正で、予算が余ったと34億円積み立てる

▼乾いたぞうきんをさらに絞ったはずの公共事業費も、不要額が出て減額修正する。原因は災害発生時に備えて計上した復旧費というから、知事の看板で、新年度の重点事業でもある防災・減災分野ということだろう。熱中症や台風の連続到来の1年を振り返り、意外な気がしなくはない

▼緊縮財政で、ここ数年は「いいのはサミットだけ」「スポーツ関連だけ」の声が続いていたが、防災・減災もその一つ。厳しい査定の治外法権で、見通しの甘い事業がフリーパスで予算化されていたということか

▼そして、退職手当の見込み違いの8億3千800万円。財源不足の痛みを議会も共有するとして議員報酬や政務活動費、旅費を切り詰めた条例改正の結果の削減額が締めて1億1400万円。見込み違いの大きさが際立つ

▼毎年ほぼ決まっているはずの退職者数になぜそんなずさんな見積もりをしたか。免職処分の職員が多くて退職手当が浮いたというなら、昨今うなずけなくもないが、額が大きすぎる気はする。4、5年前、国が民間比で退職金の大幅減額を決めた

▼定年まで勤めると生涯年収が大幅に減る。定年数年前の県職員も大量に辞めた。波はとうに引いたはずだが前年踏襲し、聖域だけにどこからもチェックがかからなかったか。人事、財政のエリート部門を組織に持つ総務部が緊縮財政と一番無縁だったのかもしれない。