2019年2月28日(木)

▼同性カップルをパートナーと認め交付する伊賀市パートナーシップ宣誓制度について、鈴木英敬知事が言った。「せっかくそうやって前進されるんであれば、議会で条例でちゃんといろんな事務を考慮して…。行政側の要綱だけでちょびっと変えるっていうことでは」

▼「LGBT総論については、多様性を認めていくっていう全体的な方向については私も賛成を、賛成というかな、大事なこと、重要なことだと」―2年前の知事会見である。その結果がこれかい、と思ったのが、職員向けという「多様な性のあり方を知り、行動するための職員ガイドライン~LGBTをはじめ多様な性的指向・自認(SOGI)について理解を深め、行動する~」

▼長いタイトル。多様性を制限すると言われかねない「LGBT総論」などの言葉も使っていない。職員向けだからということではあろうが、条例でもないし、伊賀市の宣誓制度と、当事者を理解し、共に差別解消をめざす同市の活動も紹介している

▼冒頭には「作成段階における社会の状況や情報などに基づいて作成しており、今後の社会情勢や県民の意識などの変化に応じて、必要な見直しをしていきます」と言わずもがなの断り書き。職員というより、県民向けアピールのようである

▼「LGBTブーム」と言われる世相を背景に知事も急速に変化しているということだろう。条例化の模索も示唆したが、その準備は進めているに違いない。「隗より始めよ=まず身近なことから始めよ」。差別意識に定評がある職員向けのガイドラインから始めてちっとも悪くはない。