▼東京都が「しつけ」と称した体罰も虐待につながるとして、家庭内の体罰禁止を子どもへの虐待防止条例案に盛り込んだ。三重など九府県で施行してる虐待防止条例の中で、体罰禁止規定は初めて、と本紙の共同電は伝える
▼同じ子どもを対象にしていても、県の場合、児童虐待と、いじめ、体罰は明確に担当が分かれる。県児童虐待防止条例で子どもを守るのは保護者からだが、県いじめ防止条例での保護者は、いじめや体罰防止の協力者だ。「県いじめ防止基本方針案」を教育委員会に提出しながら児童生徒のいじめアンケートを保護する文言を追記したいと申し出て、委員らが留保という異例の手続きを取ったのも、虐待との境界が見えなくなることに慌てたとすればおもしろい
▼いじめアンケートに小4児童が父親からの虐待を訴えて助けを求めたのに守秘義務を守れなかったのが野田市の学校、市教委だが、三重県教委なら、いじめや体罰問題とは違うとして〝無効回答〟にしてしまうかもしれない。学校と児童相談所との連携は、決していいとは言えなかった
▼平成22年に鈴鹿市で発生した小1児童の虐待重篤事例は、姉の異変に気づいた中学校から市を通じて北勢児相に伝達されたが、適切な対応はとられなかった。児相が一時保護を決めたのに、中学校が連絡不徹底で姉を帰宅させ、実行には至らなかった。それら連携の問題点を指摘しながらも、検証委員会は両機関の改善を献策しなかった
▼アンケートへの追記も教職員の不祥事を未然に防ぐためで、虐待防止を深掘りしていくというのではあるまい。