伊勢新聞

2019年2月8日(金)

▼根がずぼらだから正確さとは無縁だが仕事柄、県発信のニュースは比較的目にとまる。あきれたり斜に構えることが多いが、他県などから批判されると人一倍、何をという気になる。愛憎は紙一重ということかもしれない。豚コレラ5府県に拡大する中で「三重だけ陰性」と本紙が大々的に報じ、顔が赤らむ思いがしたのは愛憎どちらか

▼豊田市の養豚場で豚コレラの感染が確認されたのは5日。前日に不審豚の届け出があって検査したが確認できず、翌日長野県へ出荷した豚の中から発見されて再検査した結果確認するという迷走ぶりだった。同養豚場から出荷された5府県のうち、三重を除く4府県で陽性反応が出た

▼県だけ陰性だったことについて、県畜産課は「他県よりも出荷の時期が早かったことが影響したのでは」。何とも頼りない分析だが、大阪府の入荷が1月18日で、県は同14日。当たっている可能性も含め、運がよかった以外何もないということだろう

▼拡散させた愛知県は当初、出荷制限をしなかった判断について「問題はなかった」。検査時点で豚コレラを疑わせる状況でなかったからというのである。長野県宮古村の村長は「危機管理が甘い」と非難する

▼岐阜県が混乱し、愛知で野生イノシシの感染があっても、県は電話確認する程度。物流支援を提案する農林水産部も、流入する農産品をチェックできる体制にはない。5府県拡大で、対策本部を設置し「立ち入り検査もする」という

▼たまたまと後追いの施策に顔が赤らむ思いがしたのは恥ずかしさのせい。県への深い愛情からと言えよう。