伊勢新聞

2019年1月24日(木)

▼「ゼロベース」という基準が同じということもあるのだろう。新年度当初予算編成の知事査定は、民主党政権の事業仕分けを連想させる。農林水産部の「ポストオリパラ事業」が物流まで支援するという説明に、鈴木英敬知事は「そこまで手取り足取り支援しなければならないのか」

▼次世代スーパーコンピューターの開発への蓮舫議員の有名な発言「世界一になる理由があるのか、二番じゃだめなのか」。賛否がわかれ、バッシングも受けたが、一番を目指すことが無批判に受け入れられる社会で、発想の転換としては新鮮だった

▼食肉偽装事件が相次いだころ、東海農政局が農林水産行政の信頼回復のため開いた懇談会で「流通はまったく未知の領域なんです」と説明していた。販路拡大の一環で、これから勉強していかなければいけない、と

▼流通と物流との違いはあるが、あれから15年、農林水産部は流通の仕組みに精通したか。「ぎりぎりの所まで手伝う印象が強い」と知事の指摘は部全体に及んだという。農林水産関連団体の要望を時代の流れに反映しやすい事業名へとアレンジしていく。昔ながらの予算獲得作戦を思い起こさせる

▼高度部材イノベーションセンターの研究開発事業については、目標の低さや実績などを踏まえて「本気度がないのではないか」。こちらは、なぜ一番を目指さないのかということか。「あれもこれもという感じにはならない。集中することがある」というのは財政難での全体の編成方針でもある

▼財源捻出のための事業仕分けは国民の喝采を受けたが、官僚のやる気を失わせた。