伊勢新聞

2019年1月9日(水)

▼鈴木英敬知事が初当選して真っ先に訪れたのが神宮だという話がある。「県の最も大切なポイントを、さすがによく勉強している」と、話をした人が言った

▼知事は県についてよく勉強しているのは確かだろう。式年遷宮から間もないころ、懇親会で企業のトップが「今回の正殿は西側の番。経済が好調になる巡り合わせと伝えられているので期待したい」という趣旨のあいさつをした。知事にその話をしたら「あ、それは私が言ったことです」

▼少し前そのトップに話したことらしい。西の時がどうで東の時はどうだったかを概説してくれた。歴史の俯瞰から地域の伝承まで、博識は随所にのぞく。昨年12月議会の始まるひと月ほど前、聞きもせぬのに任期満了を迎えた歴代知事がどの時期進退を明らかにしてきたか語ってくれたが、あれも身につけた知識の一端だったか、それとも3選を前におさらいしたことか

▼年頭記者会見で進退表明について「まだそのタイミングではないと思っている」と言ったのはその通りだろう。12月議会冒頭の表明を避けた理由について「(自身の)引責条例案提出のタイミングでどうかなと思った」よりは説得力がある。歴代知事を語った段階で時期の腹は固めていたのではないか

▼改元については「新たな時代を笑顔で迎えられるチャンスに」。職員への年頭あいさつでは「新しい時代の幕開け」。北川正恭氏が県議から国政へ転身した時のスローガン「伊勢湾新時代」が頭に浮かんだのは、我ながら予期せぬことだった

▼遅れてきた初夢のごときもの。悪夢か吉夢かは分からぬが。