▼昨年末に津市で発生した3人死亡の大事故で、この10年間で初めて年間死者数が前年比を2年連続減少するかの期待が露と消えた。31日現在の速報では計87人で1人増。全国が減少し続ける中で特異な県といえようか
▼紀勢自動車道で観光バスの運転手が意識不明となり、乗客らの機転で間一髪、危機を脱したこともあった。津市の事故はタクシーの運転手が一方の当事者だ。プロの運転手の事故は乗客を巻き込み、大惨事になることをまざまざと見せつけた
▼タクシーは国道23号下り車線沿いの飲食店で客を乗せ、駐車場から三車線を横切って中央分離帯の切れ目から上り車線へ出ようとしたらしい。交通量の多いところで昼なら横断は無理だが、午後10時ころはすいていたか。左折してUターンするよりかなりのショートカットにはなる
▼プロの運転技量は高かろうが、信号待ちで長距離運送車に追突されたことがある。居眠り運転だった。紀勢自動車道でのバス運転手は「焦点性てんかんの疑い」と診断されていた。タクシーの運転手は、直進車の夜間の視界の悪さは計算していただろうか
▼自動運転車の開発は急速で、大阪万博の一つの目玉ともいわれるが、バスのケースは回避できるとして、タクシーはどうか。三車線横断の選択はソフトウエアの問題となろうが、横断して直進車の危険を感知して停止したら事故と同じケースにならぬか。回避しようと上り車線に飛び出せば、上りの車に衝突する可能性が発生する。全車自動運転なら回避できるか
▼今年の間には合うまい。今年こそ県民の英知で大幅減を。