<1年振り返って>国体 女子サッカー、3年ぶり優勝 少年女子ハンドもV

【福井国体に県代表で出場した伊賀FCくノ一の選手ら。1回戦から決勝まで4連戦を勝ち抜きスタンドからのねぎらいの声に笑みが浮かんだ=10月、福井県坂井市で】

第73回国民体育大会(福井しあわせ元気国体2018)は10月9日に閉幕した。平成最後の国体で開催県の福井が天皇杯(男女総合優勝)を獲得し、国体開催都道府県として3年ぶりに男女総合優勝を果たした一方で、三重の天皇杯(男女総合)順位は20位、総獲得点数は995・5点で、目標の10位台、1000点に届かなかった。7月の日本スポーツ協会理事会で、第76回国民体育大会「三重とこわか国体」開催が正式に決まり、地元国体成功に向けた県などの取り組みは新たな段階に入る。

県選手団の活躍で特に印象的だったのが女子サッカー、少年女子ハンドボールの優勝だ。女子サッカーはなでしこジャパン入りの経験も持つ杉田亜未選手を始めとするなでしこリーグ2部の伊賀フットボールくノ一の主力メンバーをそろえて、3年ぶりの国体優勝を遂げた。

過密スケジュールの中、主力選手を国体東海ブロック大会や本国体に送り出したトップチームの大嶽直人監督。「国体での活躍が、スタジアム問題など県のサッカー環境の改善につながれば良い」と語った言葉が印象的だった。

ハンドボールは、四日市商業高校単独で少年女子種別初優勝。県ハンドボール勢としても、日本リーグ(当時)所属のホンダ主体の成年男子が優勝した第58回国体以来の快挙だった。

四日市商は今年夏、県内で開かれた全国高校総体(インターハイ)でベスト16で終わった悔しさを晴らした。ハンドボールは総合開会式に先立っての開催で、後に続く競技の選手らにも弾みをつけた。

両種目とも得点の高い団体競技だったこともあり、皇后杯(女子総合)順位は昨年の愛媛国体(33位)を大きく上回る20位。天皇杯順位の押し上げにもつながった。

三重とこわか国体での天皇杯獲得に向けて、県は2年前から国体の天皇杯順位10位台を目標に掲げてきたが、計画年度の最終年に当たる今年も達成することはできなかった。

理由の一つが、有力な成年選手獲得が進まない現状だ。県も競技団体に任せてきたスカウティングに乗り出したほかアスリートの採用も開始。初年度の今年はアーチェリーとホッケーの選手が県職員として採用された。新加入選手の活動拠点となるチームづくり、指導者の招聘(しょうへい)にも力を入れていく。

福井県選手団の丹羽治夫総監督は国体閉幕後、天皇杯獲得の要因として、有力選手の県内就職支援や成・少年合わせて約1500人の強化選手指定に加えて、「競技団体と強化の進捗状況をチェックし、必要であれば方針の修正を繰り返した」として、地道な取り組みの重要性も強調していた。三重でも官民一体の〝チームみえ〟の体制で強化を加速して行ってほしい。