伊勢新聞

2018年12月25日(火)

▼マッチポンプとは、自分で火をつけておいて、自分が水を掛けて消す行為で、自作自演の手法、行為を指す。鈴鹿市議会が、市スポーツ関連施設の指定管理者は原則公募で選定するようにと末松則子市長に提言した

▼昨年12月、「公の施設の指定管理者選定委員会」の審議を経て市が提案した公募の業者の承認案件を議会は否決している。地元業者の優先、具体的には市体育協会に委託しろみたいな話で、公募が原則の指定管理者制度を事実上否定してわずか一年の変節である

▼議会にすれば、公募を否定するつもりは全くなかったらしい。市の進め方に問題があったというから、5年前には国体に備えるためだと非公募にし、国体間近に公募へ戻すのは筋が通らぬということか

▼5年前の非公募への方針転換は指定管理者選定委員会も疑問をあらわにしたことだった。市の諮問を通常の「妥当」とはせず「了とする」と答申し、非公募にするというなら「もう少し早い段階で意見を求めて」ほしいという付帯意見をつけている

▼昨年は、同じ理由で非公募継続を諮問する市に真っ向から反論。公募に戻すとともに、経費2割削減(約8千万円)を特に評価して市外業者に軍配をあげた。一転して公募を提案する市と、体協の意を受けた市幹部らの否決への根回しなどで今度は議会が反発した構図か

▼マッチポンプ―いや過ちては改むるにはばかることなかれ。議会を真っ二つにした混乱は何だったのかという気がするが、雨降って地固まるともいう。指定管理者制度ながら応募は県体協だけという県よりは健全かも知れぬ。