来春の統一地方選まで半年を切る中で注目が集まるのは、任期満了(来年4月20日)に伴う三重県知事選の行方。鈴木英敬知事は進退を明かしていないが、3選出馬との見方が大勢を占める。ただ、一度は目指した衆院選への出馬を狙うなら、永田町でささやかれる「衆参同一選」の行方が進退を左右するとの観測も上がる。一方、旧民進党系は多くが前回知事選と同じく現職への〝相乗り〟を求めるが、国会議員を中心に独自候補の擁立を狙う向きも。この事態に、新政みえには「誰も出さず、誰も推薦しない」との案も漂う。
「残りの任期半年でいかに成果を出すか、障害者雇用の算定誤りもあったように、県民の信頼を回復するために努力をすることで頭がいっぱい」。8日の定例記者会見。鈴木知事は任期満了まで半年を切っても、自らの進退や表明の時期を明らかにしなかった。
とはいえ、多くの県議は「間違いなく出ると思っている」と鈴木知事の3選出馬を見込む。10月の県議会代表質問では、新政みえの三谷哲央代表から「一説によれば、密かに政策集を作っておられるという話も漏れ聞こえるが」との発言も飛び出した。
ただ、県幹部らは「今回は表明の時期に関する情報は一切ない」と口をそろえる。11月定例月会議の冒頭という〝慣例〟に従えば21日に迫るが、会議冒頭の発言を受け入れるかを検討する議会運営委員会のメンバーも「何も聞かされていない」という。
一方、県議らの中で進退表明の時期として浮上しているのが、11月定例月会議の最終日に当たる「12月20日説」。提出議案の採決などが行われた後の締めくくりに表明するという見方だが、根拠の一つは永田町を駆け巡っているという「衆参同一選」だ。
「安倍晋三首相が来夏の参院選に合わせて衆院解散に踏み切るのでは」との考え方。ある県議は「鈴木知事にとって次期衆院選は人ごとではないはず。国会の動向を見極めている段階なら、定例月会議の最終日に表明する可能性もある」と見立てる。
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次期知事選には今のところ、立候補の声は上がっていない。前回知事選で鈴木知事を推薦した新政みえの県議らは「統一地方選は県議選で精いっぱいだ」と、前回知事選と同じく鈴木知事への〝相乗り〟を目指す考えが多くを占める。
ただ、旧民進党系の中には国会議員を中心に独自候補の擁立を望む思いもあるようだ。旧民進党系の議員らでつくる地域政党「三重民主連合」の中川正春会長は18日の記者会見で「できれば候補者を出したいが、そうなるかどうかは分からない」と話した。
ある県議は「鈴木知事が国政に進出すれば旧民進党系とは敵対するが、県政レベルでは協調関係にある。この差が知事選に対するスタンスの違いに表れる」と解説。この状況を捉え、新政みえには前回知事選とは一転して鈴木知事を推薦しない案もあると明かす。
一方、共産党などでつくる市民団体「県民本位のやさしい三重県政をつくる会」は惨敗した前回知事選に続き、今回も独自候補を擁立する方針。候補者の選定は「最終段階に入った」(関係者)といい、年内にも立候補予定者を発表する予定だ。
ただ、旧民進党系などが候補者を擁立すれば、国政選挙の対応と同様に候補者を一本化する余地も残る。同団体の藤井新一事務局長は「他に現職への対抗馬が出るのなら、政策のすりあわせなどをした上で積極的に連携したいという思いもある」と話す。