▼元気がいいというか、恐れを知らぬというか。食べたコメの数で決まるといわれる県議会で、一期の稲森稔尚委員が4期の水谷隆委員から「非常に不適切」と指摘された発言について「何をもって不適切だったか」とかみついた
▼公式の場で先輩議員を特定して「十分に説明できなければ謝罪を求める」と反撃した例は知らない。全員協議会で、出前講座の発言を不適切だったと陳謝した廣耕太郎、山本里香両県議も1期だ
▼田中角栄元首相が後輩を「池の鯉は跳ねても良いが、砂利の上に落ちるとスルメになる」と脅した話は有名。県議会でも〝跳びはねた〟1期生を、長老が「ぎゅっという目にあわせてやれ」と言っている場面を目撃した。旧習は今は薄れているに違いない
▼1期生の言動は新鮮である。県の特別職を議会が事前にぶち壊したり、慣例任期前に辞任させたケースはあるが水面下で運ばれた。公式の場で「(県OBの)代表監査委員は天下りの弊害」として交代を求めたことはなかった
▼問題の「データ放送」は、代表監査委員が戦略企画部長だったころ議会の反対を押し切って実施に導いた。廃止に追い込まれたことが定期監査報告書に記載されていないことで、県の人事政策の問題点がクリアになった形だが、それならそうで、議会の慣例として別の手があろうというのが水谷議員の指摘かもしれない
▼出前講座問題も、議会は要領を見直した。至らない点はあったということだろう。定数45賛成議員が講師になっていたら定数51の考えを〝公平〟に紹介できたかどうか。生きた政治がそこにある。