伊勢新聞

2018年10月29日(月)

▼「印影の微細なずれから偽造印鑑を見破るシステムを開発」という大分県警科学捜査研究所(科捜研)の女性係長の記事。「微細証拠から犯人を割り出す」がキャッチコピーのテレビ番組「科捜研の女」を意識した書き方させている感じたのは気のせいか

▼10月の番組改編でシーズン18が放映された。番組で活躍する顔認証システムを開発した県出身の長尾真元京大学長の文化勲章受章が決まるなど、関連話題が相次いだかに見えるのはミステリー番組ファンとしては楽しい

▼相談するわけではなかろうが、テレビドラマのテーマも、改変ごとに各局似てくる気がする。前半はミステリーが姿を消した。無責任な感触だが、医療・介護や恋愛物が多かった気がする。原作に漫画が増えたせいか、番組案内などを見るとかなり奇抜なストーリー展開で、特に恋愛では現実離れしたファンタジックと言えそうだが、視聴者に好まれるということか

▼手鍋下げてもなどというのは、今や性による役割分担を示唆すると非難されかねない。晩婚化が進む中で、打算が入り込む余地も増えてこよう。好き嫌いで恋愛、結婚へと踏み切る層は、現実社会でも徐々に縮小傾向にあるに違いない

▼「一人口は食えぬが、二人口は食える」ということわざも、高度成長期とともに聞かなくなった。独身でいるよりも世帯をもった方が無駄が省けて得策という意味だが、今ならむしろ共稼ぎを連想し、つましい生活など思うまい

▼生活保護の中で高齢者単身世帯が急増していることと関係するかどうか。豊かさを求め貧しくなる構図と言えようか。