2018年10月25日(木)

▼県内市町や教育委員会などの障害者雇用率を調べた三重労働局が「意図的な水増しは確認されなかった」。国の第三者検証委員会も「意図的」は否定した。同局が踏み込めるはずはあるまい

▼そんたくを疑うわけではない。うつ病を障害者に計上した国税庁について、国の検証委の松井巌委員長(元福岡高検検事長)は「われわれも不自然だと考えた」が同庁は、経緯は「分からない」と答えるばかりで「意図的の心証までにはいたらなかった」

▼それでも、国の機関は不正参入のうち91人が退職者で、3人は死亡と報告している。一方、知事の指示で過去の調査もすることにした県教委だが、退職者は「神経質にならざるを得ない」(廣田恵子教育長)として調査対象から外した。だから結果も「正確な数字ではなく、参考値」(県教委)

▼こうした体質の行政組織を相手にして、指示系統のない行政組織が真相にたどりつけるはずはないのである。松井委員長が「意図的」と「恣意的」の違いを説明している。法違反を認識していたら「意図的」、法の解釈を緩めにするのが「恣意的」。行政の得意分野だ

▼「前例踏襲」「考えずに」「ずさん」も、大量水増しに至った理由と松井委員長。「意図的ではない」と、廣田教育長や嶋田宜浩県総務部長が言うのがよく分かる話だが、だからどうしたとは言いたくなる

▼「重要性の認識を欠いた」という廣田教育長の言葉が水増しの本質を物語る。大事なことだとは思わなかったのだ。軽い気持ちで解釈を広げ、深く考えずに継承してきた。いつも変わらぬ県の意識である。