伊勢新聞

大観小観 2018年10月16日(火)

▼総評、同盟など、労働組合のナショナルセンターが統合して連合が発足したころ、連合みえが総会で親睦会にゴルフ大会を企画したのに驚いた。争議や労使対立を多く取材して、労組とゴルフとの取り合わせに違和感があった

▼県職労委員長に「労組も変わった」と言ったら「うん、ゴルフはどうかなとは思ったんだが」と肝胆相照らしたが、同委員長が大のゴルフ好きと聞いたのは直後のことだった。中央官庁から出向してきた県幹部のゴルフ好きを、田川亮三知事がやんわり注意したそうだ。恐縮しながら「これは絶対ばれませんから」。情報公開条例がなく、カラ出張横行当時の話である

▼助役として市に赴任する県幹部に三役が「ゴルフは控えろ」とはなむけの言葉を贈った。「考えてみたら自分で金を払ったことはなかったなあ」とその幹部が言ったものだ。県職員とゴルフの話は多い。バブル経済の一翼をゴルフ場が牽引していたころ、会員権販売などの錬金術ぶりを連載したことがある

▼バブル崩壊とともに会員権返還が続き倒産するゴルフ場が相次いだ。『まる見えリポート』は「平成16年の経産省の調査で初めて減少」とある。会員中心の堅実な経営に切り替えていたということだろう

▼連載当時は正体不明の人物の接触に戸惑ったが、県の職員からも会員権の先行きを問われたことがある。投資として売買しているという。知事の後援会が支持者らを集めてゴルフ大会をするご時勢だ。ゴルフ場を巡る暗い部分は、もうないのだろう

▼県が「日本ゴルフツーリズム」を先導するという。時代は変わった。