2018年10月13日(土)

▼障害者雇用率の水増しで県幹部の陳謝が一巡したと思ったら県議2人が頭を下げる。県議会の出前講座で県議定数について持論を展開したためというから、自由な発言が保障されている県議とはいえ、議会を代表して派遣された立場への自覚が足りなかったということか。執行部と県議会が本分を見失い、仲良く県政への信頼を損なっているといえようか

▼出前講座の実施要領は「特定の政党色や思想から離れ、純粋に教育の一環として実施」「説明や感想を求められた場合には、客観的にさまざまな考え方があることの紹介にとどめる」。話は当たり障りなくというなら県議が出向くまでもない気もするが、目的の「議会、地方自治に対する親近感を醸成する」ことができるかどうか

▼山本里香県議は「条例に反対した理由を尋ねられ、私見を述べざるを得なかった」。さまざまな考え方の紹介だけでは高校生の政治意識、知る権利を軽んじたことにもなりかねない

▼議会は45の定数条例化で、実施は自分たちではなく次の選挙に先送りした。現在の混乱は前議会の前代未聞の決定が根源で、一年生議員が疑問を口にするのは当然と言えなくはない

▼45が一票の格差是正をうたいながら、格差の大きい伊賀市ではなく伊勢市を削減するのはなぜか。廣耕太郎県議はその疑問に先輩議員が誰も答えてくれないという。議会費用の削減を言いながら定数削減より大きい海外視察が手つかず―。山本県議の指摘も

▼高校生に親近感を醸成する前に一年生議員の不信を払拭させていれば、不用意な発言はなかったのかもしれない。