2018年9月23日(日)

▼行政用語は難しい。障害者雇用率水増し問題で、障害者や難病団体から改善を求められ、県教委教職員課長が「危機管理意識が乏しく、障害者の雇用に対する意識が低かったと猛省している」。「猛省」ばやりだが、危機管理意識と障害者雇用意識がどう結びつくのか

▼障害者の雇用意識が低く、すなわち雇用率を軽視してずさんに算定してきた。国の水増し問題を受けても8月までは「誤りはない」と報告。国の通知で再調査して35人の水増しを認めたが「意図的ではない」として過去の調査はしない方針を示した。鈴木英敬知事の指示で改めて調査した結果、新たな水増しが発覚した

▼以上が県教委の説明。見方を変えるとこうなる。都道府県教委のワースト5の常連でも特に気にせず、前年度微増程度の操作だったが、鈴木知事誕生で風向きが変わった。特に平成25年11月、知事と三重労働局長が連名で「障害者雇用率改善プラン」を発表。知らんぷりもできなくなった。翌26年度から「法定雇用率を達成し続けてきた」と言っている。言わざるを得なくなったということだろう

▼帳尻合わせがばれたらどれほどダメージを受けるか、想像することなどできなかった。ばれてからも、過去を調査することを否定。傷口を最小限に抑えるため全容解明を回避しようとしていると受け取られかねないことに、思いは至らなかった―。危機管理意識が乏しかった、となるのである

▼組織防衛の危機管理欠如で、障害者雇用の危機とは何の関係もないが、県教委にとっては、切っても切れない関係があるのである。