伊勢新聞

2018年9月6日(木)

▼台風21号で津市郊外の我が家のベランダも吹っ飛んだ。12号、20号と矢継ぎ早の台風到来でそれぞれ風雨の強さに肝を冷やしたが、竜巻警報も出ていたせいか、今回が一番すさまじかった気がする

▼転倒したり、ガラスや飛散物に当たるなどして重軽傷者29人。伊賀市で女性1人が行方不明という人的被害の大きさは県内最接近が昼過ぎだったせいか。写真で見る建物被害の爪痕も生々しい。紀北町では電柱が倒壊し、中部電力管内でも随所で電線が切断されたという

▼ひと昔前の台風被害は床下浸水、床上浸水が真っ先にあげられ被害の大きさが推し量れた。直近3台風で聞かないのは住宅事情の改善か、社会的基盤の整備か。代わって停電がクローズアップされている。今回も中電管内だけで四日午後7時を最大に約23万6300戸。四日市市の知人宅は午後3時~6時まで停電し、冷蔵庫の中身を心配したという

▼会員制交流サイト(SNS)も停電の話題。「中電は何をしている。仕事しろ」みたいな書き込みから「風雨の中の復旧作業。中電さんありがとう」まで。夜はろうそくの明かりで家族団らん、昼は停電していることさえ知らず、という高度成長期以前の日本の風景から様変わり。停電は企業活動を止め、個人の生活を脅かす

▼台風通過後は気温上昇して、熱中症の心配も。冷房の上手な使い方が説かれてきた熱中症対策は崩れ去る。「うちはガス、水道が使えたので助かりましたが」と先の知人。「オール電化のお宅は大変でしたでしょうね」

▼便利さと不便さが隣り合わせで大きくなっていく。