伊勢新聞

2018年8月28日(火)

▼高校球児のパフォーマンスに審判が注意したことで、パフォーマンスの是か非かや、どこまでが許されるかが話題になったらしい。「旧日本男児のようで疑問」などの批判がネットで飛び交っている。投手の刀を抜くようなポーズと、ガッツポーズの新聞写真を見て「何じゃ、こりゃ」と思ったから「旧日本男児」世代ではある

▼もっとも、スポーツのマナーやルールが日本男児かどうかですべて割り切れるものではない。高校時代にテニス部に入ったのは、相手のミスに拍手をしてはならない紳士のスポーツと教わったためだが、テレビ中継のある現代では考え方は変わった。サーブレシーブでネットにかけた場合、サービスエースかレシーブミスかは素人では判別しにくい。超一流の選手がコート上で盤外戦を仕掛けたり、コートに転がるパフォーマンスもよく見かける

▼柔道では日本選手に感情を爆発させる選手が少なくないが、最強と言われるフランスのテディ・リネールは「対戦相手をリスペクト」してその種のパフォーマンスを見せることはない。野球ではベーブルースの予告ホームランが有名。打ち込む方向をバットで指したのだが、単なるポーズとは違う気がする

▼不調の投手の球を受けるのに、捕手はミットの綿を抜くという話を聞いたことがある。いい音を出して気分をよくさせる。投手はお山の大将で、みんなで気持ちを盛り上げるのも必要。すっかり気をよくして刀を抜くポーズや大げさなガッツポーズをし始めたら、チームとしては万々歳だろう

▼野球という競技に特有のルーチンとは言えそうだ。