伊勢新聞

2018年8月21日(火)

▼三重ごみ固形燃料(RDF)施設爆発事故の犠牲者追悼や安全祈願の式典に6年ぶりに出席した鈴木英敬知事が、来年9月の事業終了後に「県としての総括」をあらためて発表する考えも示し「功罪相半ばと言わざるを得ない」

▼「総括」は議会の要請で県企業庁が作成し、総括になっていないなどの指摘で再度作成。渋々了承された経緯がある。ダイオキシン、二酸化炭素の削減はじめ、燃料の「ごみ」の大量搬送を奨励しながら、ちゃっかり「ごみゼロ社会の実現」も功績にあげる。成果ばかり目立ち「功罪相半ば」などとてもとても。知事も大いに不満だったとみえる

▼「反省」は記述しても「責任」はあいまい。爆発当時の企業庁長が記者団に責任を問われ「なぜ私が」と色をなしていた。県を揺るがしたカラ出張問題も「全体責任」で幕引きに。同じことが繰り返されている

▼事業終了に当たり、県は「一般廃棄物処理は市町の責務」と言い出した。出発点では「本来はそうだが、当該事業に限り県で行う」。本来に戻すのに、参加市町に移行支援の名目で〝迷惑料〟を支払うという。RDF事業の前事業である青山高原分譲事業も、旧白山町に持参金を付けて処理を押しつけたことを思い出す

▼RDF爆発事件の平成15年8月の翌9月、土壌埋め戻し剤として、のち産廃と断定された石原産業の「フェロシルト」をリサイクル製品に認定している。事業者決定のプロポーザルから事故検証委に至るまで、メンバー構成にも疑問は残る

▼今度こそ原点から踏み込み因循姑息の悪癖を断ち切る総括ができるかどうか。