伊勢新聞

2018年8月16日(木)

▼教員採用試験一次選考の合否判定を誤って、県教委の担当者は「(加点)入力の作業に慣れておらず、誤りに気付かなかった」と説明した。「慣れた作業なら」ということか

▼例年外部に委託していたが、応札がなかったため担当者が入力した。誤りが発生したのはたまたまか。複数の職員が入力後の資料を確認したのに誤りに気付かなかった。本来、自分がやる作業ではないという意識がみんなになかったか

▼「データを入力する手順や確認の体制を見直すなど、再発防止に取り組む」という県教委教職員課の説明がちぐはぐに聞こえる。一次通過は約1割で、二次でさらに絞られる。大変な難関だが、司書講習加点の有無を検討した受験者との気持ちのギャップが際立つ。誤りは10人だったというが、入力のミスは司書教諭講習修了の加点だけだったのだろうか

▼県職員の採用試験は県人事委員会が採点も含めて担当する。県教委も試験問題は県人事委に委託しているはずだが、採点は教職員課が自ら実施したらしい。地方自治体は、一次の採点は専門機関に委託するのが慣例。外部委託には公正・公平の確保という意味もあるからだが、応札がなかったから自前でというのは安易過ぎなくはないか

▼教員採用は、それでなくとも二次の比重が重い。不祥事連発を受けて試験の点数より人物本位でという県議会などの注文を反映させたのだが、さて人物が見極められるかとともに、情実が入り込む余地があるとの県人事関係者らのうがった見方は絶えない

▼データ入力の手順や確認の見直しは的外れとも言えなくはない。