2018年8月12日(日)

▼自民党総裁選に立候補表明した石破茂元幹事長が「正直、公正」を掲げて安倍政権を暗に批判したのに対し、麻生太郎財務相が「派閥をやめようと言ったのは誰だ。言っていることとやっていることが違う」と痛烈に批判した。説明責任では支離滅裂だったが、個人攻撃になるとさすが一頭地を抜く

▼もっとも、石破氏の安倍晋三首相との対立軸は「平成22年綱領」に基づく。7月の共同通信加盟社論説研究会で石破氏自身が示した。「自由な選択、他への尊重と寛容、共助の精神」などからなる自由を守ることを再確認すると「現状認識」にある

▼政治主導だと言って意に反する意見を無視したり「与党のみの判断を他に独裁的に押しつける」ことを否定し「政治を謙虚に機能させる」などの言葉が続く。おのずと安倍政権の政治手法との違いが際立つ。事務局の共同通信責任者が「中身をすっかり忘れていた不明を恥じる」と言っているのがおもしろい

▼前年総選挙敗北で下野し、当時は国民から見捨てられた党だった。再浮揚しようと青年局が中心に策定したが「小さくでも報じてくれればいい方」と嘆いたのが広報委員長の小池百合子氏だった

▼「政権(民主党)に問題がある時の反対意見としてしか、我々は紙面に載らない」と地方紙の東京支社長会との懇談で語った。嘆きは今の野党も変わるまい

▼安倍一強体制の前に物言えぬ党内のふがいなさが報じられ、野党などは支持率低迷でその責務を果たしていないと酷評される。善きにつけあしきにつけ、一強体制が圧倒的に報じられているのだから無理もない。