▼「これ以上目立つな、との指示が上からありました」と白山高校野球部の川本牧子部長。甲子園のバッターボックスで素振りをしたことを高野連に注意されたためらしい。高校レストランを進める過程でさまざまな横やりが入ったことと相可高校の村木新吾先生の著書にある。話は別のようでもあり、似ているようでもある
▼お祭り気分に水を注すという意味では高野連も「白山高校の上」と似ている気がするが、ルール違反を見逃して事故でも起きたら大変だし、人気というのは移ろいやすい。ほんのわずかなきっかけで逆風に転じるケースはいくつも見た。お祭り気分の時こそ、冷静に全体を見つめる目というのもが、日本社会では必要なのかもしれない
▼テレビはミステリーばかりでスポーツ根性ものはとうに卒業したので「下克上」は下位の者がのし上がっていく歴史上の言葉としか受け止めていなかったのは、地元を中心にしたお祭り気分に申し訳なかった。優勝翌日の朝五時、地元新聞販売店に本紙を買いにきた住民の話を聞いてみこし後ろについて行きたくなったのは我ながら現金だった
▼本紙だけでなく、店や家には各紙の記事が張られ、昔の勢いはない家城の商店街にも「祝甲子園出場」の張り紙。「こんなことは二度とないかもしれないから多少の寄付は仕方ない」と語る店主がいたのは泣かせる。スポーツは人の心を熱くさせるが、出場校で唯一の普通科高校というのが言わずもがなに教育論を語っているのがうれしい
▼31番目に堂々の入場行進。旋風もだが、隣県の名門校に、是が非でも一矢を。