伊勢新聞

2018年8月2日(木)

▼アメリカンフットボール部の悪質反則問題の日本大第三者委員会は、組織が前監督の独裁的体制になっていたことを指摘した。選手は監督、コーチに満足に意見を言えない仕組みが徹底していた。監督ファーストの風通しの悪い組織がどうなるか

▼平成24年度から始めたみえの学力向上県民運動が28年度から第2ステージに入って2年目。全国学力テストは全国平均との差を広げた。「課題の克服が十分には進まなかった」と県教委。打つ手の効果が十分でなかったということでもあろう

▼スポーツも学力も、教育というは似たようなものではないか。県民運動の代表施策として校長のリーダーシップを掲げ、今回の結果でさらに強化する気配。指導体制の一極集中に一定の効果はあるが、組織の硬直化と背中合わせであることは日大アメフト部が答えだろう。学校長が教室をのぞいて回るなどというのは管理教育といういつかきた道を思い出す

▼他県の施策を参考にしたもう一つに「みえスタディ・チェック」というテストがある。効用について現場に共感はどうか。学力向上に責任感の強い教職員だが、数値化された学力だけにとらわれる教育法には伝統的に抵抗感がある。目の前の現象に一喜一憂することにも。昨年初めて好成績をあげた理由の多くを、県教委はスタディ・チェックに求めたが、今回の結果をどう見るか

▼第2ステージの目玉は環境づくりと読書。ゲーム時間の長さへの対策を反映させたのだろうが、監督、コーチや選手のチーム全体の共通の意識づくりが結果を出すことをスポーツは教える。