伊勢新聞

<まる見えリポート>来夏の参院選展望 自民と旧民進系候補が激突

来夏に予定されている参院選まであと1年となった。三重選挙区(改選数1)では、自民党現職で再選を目指す吉川有美氏(44)、旧民進系議員らでつくる地域政党「三重民主連合」が擁立した芳野正英県議(43)、共産党新人の中川民英前津市議(50)の3氏が出馬を予定。自民と旧民進系が激突する構図が固まり、吉川、芳野両氏が事実上の一騎打ちを展開する見通となった。共産党は条件が整えば候補者を取り下げる見込み。

初当選から5年が経過した吉川氏。現職ながら、活動状況が見えにくいとの指摘もあり、全県下で存在感を出せるかが課題。

衆院議員を筆頭に自民議員が得意とする強固な後援会づくりがいまだ遅れているとの見方も。そのため「衆院議員を中心に、来春の統一地方選に臨む県議らとセットになって戦う」(県連関係者)としている。

相手候補が四日市市選出の県議ということで、現職の強みで知名度は先行。自民議員の組織に乗れれば勝算は見えてくるか。

ただ、国政選挙は「時々の国政状況に左右される」(県連幹部)面も否めず、時の自民政権がガタついていれば、逆風選挙にさらされることも予想される。

さらに、「相手候補が誰であれ、敵は岡田(克也)、中川(正春)氏」(県連関係者)との声もあり、人口が多い北勢に立ちはだかる両氏の牙城を切り崩せるかもカギ。

芳野氏は四日市市議を経て県議1期目。今月上旬に三重民主連合が擁立を決めた。

数人の候補者がリストアップされていたが、最終的に旧民進党の衆参3人の国会議員が協議し、「最後は岡田さんの鶴の一声で決まった」(関係者)とされる。

候補者候補の中には、芳野氏より政治キャリアが数段上の人物もいたが、「芳野さんは一歩も引かなかった」(芳野氏周辺)といい、その度胸と熱意が通じたか。

知名度不足をこの1年間でどう克服するか。平成28年の前回参院選で自民候補を下した芝博一氏の選挙のように、野党統一候補として一本化できるかも勝利へのカギ。

加えて、三重民主連合が国政政党ではないため、早くも自民側は「国政選挙にもかかわらず、政党公認で出ないのは分かりにくい」と批判しており、有権者への説明も必要だ。

共産党は中川氏の擁立を決めているが、野党統一候補を目指すとしており、候補者取り下げも視野に入れる。

ただ、同党県委員会幹部は「一方的な取り下げを期待しているようだが、きちんとした政策協定を結ぶことが必要。そうでなければただの野合」と指摘。

理想とするのは芝氏の選挙だという。市民連合を介在したうえで、政策協定を結んで後方支援した。もともと芝氏と共産党は水と油のような存在だった。が、「芝さんが柔軟に対応してくれ、水面下での信頼関係も築けた」(県委員会幹部)という。

芳野氏については「憲法などで我々の考えと開きがあると聞く。共闘できるのかしっかり見たい」(同)としている。