伊勢新聞

2018年7月29日(日)

▼廣田恵子三重県教育長が「学校教育への信頼を著しく損ない、極めて重く受け止めている」と陳謝の際の決まり文句を切り出し「特に教育に携わる者にとって」と続けた

▼津市立中の男性教諭が飲酒運転の疑いで逮捕された問題である。サッカー部顧問で23日、県内外のサッカー指導者らとの懇親会で飲酒し、津市内の県道で車を反対車線の縁石に乗り上げた。インターハイ直前という時期との関係はないとしても、準公務中ではなかったか

▼どんな顔で生徒に会うか。まさに「学校教育への信頼を損ない」だが、廣田教育長の言葉がそれだけではないように聞こえたのは時節柄だろう。教育行政の元締の文部科学省で前科学技術・学術政策局長に続き、国際統括官(局長級)が収賄容疑で逮捕された。省ぐるみの天下り問題に続き、加計学園問題では、前事務次官が「文科行政がゆがめられた」と言った。教育行政の信頼が大きく損なわれている

▼自分の再就職先確保や長いものに巻かれたり、息子の入学問題、ただ飯、ただ酒―態様まことにあさましい。公私のけじめが希薄なのだろう。公人の自覚などないのかもしれない

▼第三相互銀行(当時)の社長を務めた三浦道義が戦後間もなくの旧大蔵省職員時代を語っていた。公用電話が自宅に引かれた時の話である。「梁の上に置いて決して使用してはならぬと家人に言い渡した。当時の役人はみんなそんなものですよ」

▼携帯・スマホの時代は電話の価値から説明しなければなるまい。次いで父親の権威について。で、なぜ電話を梁の上に置くか。その説明が一番難しい。