伊勢新聞

2018年7月11日(水)

▼県立学校の建築基準法違反ブロック塀については、鈴木英敬知事が「これまでの法定点検では専門業者から指摘はなかった」と検証する考えを示したのに対し、廣田恵子県教育長が「(点検)してもらっているつもりだったかもわかりませんけど、ブロック塀について細かい指示は出してなかった」として、結果的に違反の報告を受けていなかったのは「認識が甘かったのではと。こちらの側の」

▼既視感を覚えた。越境入学問題で、保護者に就職先を紹介するなど、ルール破りを助けた教職員に対する処分を問われ、廣田教育長は「教職員にも責任はあるが、規則違反を知り得る状況にあったにも関わらず、確認していなかった県教委に重い責任がある」

▼責任問題になるとすぐ学校長へ丸投げする県教委が、現場の教職員の責任を買って出る。なかなかできないことだと感心したが、県教委も教職員もその後、何の責任も取らなかった。責任の所在をあいまいにするテクニックだったようだ

▼今度は点検を委託した専門業者が違反を見つけられなかった責任を県教委が買って出る―ブロック塀は委託項目に含まれ、高さ、厚さは施行令で定められている。業者の指摘がないのが「こちら(県教委)側の認識が甘かった」ためというのでは危なくて仕方ない

▼「検証時間がほしい」と言ったのは先月25日の教育長会見。教育長は九日、県立学校の違反ブロック塀全て撤去の方針を明らかにした。越境入学問題は土俵を変形して合法にしたが、今度は「事故が起きなくすることが大事」なんて言い出すわけでもあるまいが。