2018年7月3日(火)

▼県立学校のブロック塀が設置している33校全てで構造基準を満たしていない疑いという結果が数日前に出ていたので、小中などを含めた公立学校でのブロック塀のある208校のうち、約7割にもその恐れという発表にいささかほっとしたのは遺憾だった。一種のガス抜きに惑わされたのかもしれない

▼あまりにひどい現実に感覚が慣らされ、それと同等あるいは少しでも程度がよければ驚かなくなる現象である。風化とも、どこか似た感覚の気がする。ブロック塀の危険性が指摘されたのは昭和53年の宮城県沖地震で、犠牲者28人のうち18人が塀などの下敷きになって死亡。同56年、高さ制限の引き下げなど建築基準法施行令が改正された

▼阪神大震災では家屋倒壊の被害が大きく、ブロック塀が特定されなかった。東北大震災はさらに、である。阪神大震災、東北大震災が主な契機になっている県の防災対策がブロック塀にどれほど注視していたか。調査結果が証明した格好だ

▼鈴木英敬知事は鈴木英敬知事は「これまでの法定点検では専門業者から構造基準を満たしていないという指摘はなかった」と述べたが、廣田恵子県教育長は「業務委託の中でしてもらっているつもりだったかもわかりませんけど、たくさんある項目の中でブロック塀について細かい指示というのは出してなかったと思っています。そこまで確認できなかったのかなと」

▼継ぎ足しだけでなく、学校建設段階ですでに違反だった疑いも出ている。防災対策の盲点は果たしてブロック塀だけなのか。点検を急がなければなるまい。