伊勢新聞

2018年6月19日(火)

▼ひところ我々は中庸の党だと主張する政党が現れた。元は儒教からだが、大小や上下の中間とか、足して二で割るのではなく、ぶれず、偏らず、公正な道を進むみたいな話

▼現実の社会、しかも政治の世界で我が道を行くのもどうか少し疑問を感じたが、足して二で割るというのも魅力に欠ける気はする。旧民進党県連の所属議員らでつくる地域政党「三重新政の会」が名称を「三重民主連合(仮称)」に変更するという

▼野田佳彦前首相らが「千葉民主連合」を立ち上げたことがきっかけというが、民進党名になる時も、岡田克也前副総理は「民主」に未練たっぷりだった。くるくる変わること自体、中庸とは言えそうにないが、会長に就任する中川正春衆院議員が「国民民主党、立憲民主党の真ん中で連携できる基軸を作りたい」。はて「真ん中」とは、ふと思った

▼「連携できる」が最優先の課題のようだから「ぶれず、偏らず」に固執することはあるまい。「真ん中」という限り、国民民主、立憲民主両党の立ち位置、変化によって自らもあっちに動き、こっちに移りしなければ距離を保てまい。妥協を許さずというのも政党としては困るが、始めからカメレオンのように変わりますよ、というのも、有権者の信頼をつなぎ止めることができるのかと、思うのである

▼「走っている列車に乗っていて中立ではいられない」というのは米国歴史学者ハワード・ジンの書名。どっちつかずでは現状追認になってしまうという警告だが、共同通信世論調査で安倍晋三首相が自民総裁トップ候補になった。なるほどという気はする。