<まる見えリポート>岡田、芝氏が対立!? 三重新政の会 微妙な船出、結束なるか

旧民進党の事実上の解体により、元副総理の岡田克也衆院議員をはじめ所属議員らによる地域政党「三重新政の会」が発足した。長らく県政界をけん引してきた旧民進系が地域政党に下るという隔世感が漂う中、一部不協和音もささやかれる。来年は統一地方選、参院選と大型選挙を控え、連合三重らとともに鉄の結束で選挙を乗り切れるか、底力が試されている。

「岡田さんと芝さんがけんかした」。三重新政の会の運営を巡り、旧民進党周辺で先月、こんなうわさが駆け巡った。

岡田氏は言わずと知れた旧民進の重鎮議員。特に県内ではまるごと「岡田党」というべき絶対的存在を誇る。片や芝博一参院議員も、民主党政権下の菅内閣で首相補佐官を務め、岡田幹事長、輿石東参院幹事長=いずれも当時=という難解な三足のわらじを懐に抱え、政権を支えてきた人物である。

そんな大物2人に一体何が。「けんか?ないないない」。「岡田党」の大番頭、三谷哲央氏(県議会会派新政みえ代表)はきっぱり否定。ただ、関係者によると、旧民進を引き継いだ国民民主党からの移行手続きや距離感をめぐり、参院で同党と喧々諤々(けんけんがくがく)している芝氏と岡田氏側で意見の食い違いが出たという。

「2人が方向性やビジョンを違えたということは全くない」(関係者)のだが、結果的に一歩引いた芝氏が当初予定の会長に就かず、中川正春衆院議員が就任となったため、尾ひれがついたのではとの見方。

とはいえ、旧民進党県連幹部は「芝さんと岡田さんのレールにずれが生じたのは事実」とし、先行きを危ぶむ。

「三重新政の会」は、もともとは同じ民進党だった国民民主党と立憲民主党の接着剤を目指し、いったんは無所属を決めた岡田氏、中川氏、芝氏と県連組織の受け皿として結成。旧民進党員だけでなく、幅広い参加者を募るという。ただ、組織ありきの側面があるため、旧県連役員はじめ党員からも戸惑いの声が少なくない。

ある関係者は「民進党の離党届と入会申し込み書が同時に送付されてきた。自動的に入会せよということなんでしょうけど」と苦笑い。「理念や規約は後回しのため、真面目に向き合う人ほど対応に困惑するのでは」と推測する。

前出の旧県連幹部は「(会は)岡田さんが発端の事実上の『岡田党』。いっそ岡田さんが代表に就いて、オーナーとしてお金もポーンと出すと言ってくれれば分かりやすいのだが」。

船は漕ぎ出した。果たして行きつく先はいかにー。

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旧民進党をめぐる国政や県政界の動きに厳しい目を向ける人物がいる。かつての仲間でもある藤田大助元衆院議員だ。

藤田氏は昨年秋の衆院選で県内国会議員らと袂を分かち、希望の党から出馬し落選した。政界から身を引く考えで、今は地域で事業活動を行っている。

藤田氏は「昨年の希望、立憲民主との分裂で、民進党とその枠組みは終えんした」と指摘。「民進党をきちんと成仏させるためにも、安易な離合集散でなくゼロから出直してほしい」としている。