伊勢新聞

2018年5月25日(金)

▼候補者男女均等法の施行を受けて、県議選で女性を擁立する考えの県議会最大会派・新政みえの三谷哲央代表が「育児との両立などハードルも高い。女性が参画しやすい環境も合わせて整えたい」。いつもながら思わずポンと膝をたたきたくなるようなほれぼれするコメント。実行面でしばしば肩すかしを食らうが、今回はどうか

▼女性議員の誕生のしにくさは、最近の報道の中からも読み取れる。議場に乳児を連れて入り議長が厳重注意(熊本市議会)、女性総務政務官が公務のついでに公用車を使って1歳の長男を議員会館内の保育所に送迎したことを週刊誌が批判―など。一般的には▽家族、地域、男性議員などの無理解▽家庭生活との両立―があげられる

▼平成7年の県議選後の議席決定で、三大会派の席割りが妙にいびつなので聞いたら、北川与党の会派長が「(普通に割り振ると)隣の会派の女性議員が後ろに下がり、偉そうに見える」。のち、その話をしたら当の女性議員が「(その会派長には)大変親切にしていただきました。そんなことがあるはずはありません」

▼県の女性部長級誕生は25、6年前だが、男女共同参画という意味では野呂県政の太田栄子こども局長が最初。「女に議会答弁ができるのか」という偏見を打ち破った。女性が参画しにくい環境は、表面からは見えにくい

▼三谷代表は定数問題では削減を主導し復活に変わるなど議会の信頼を傷つけたが、本気で取り組んではいかがか。テーマの決まらぬ特別委で、高齢化の進む市町議会を含めて規範を示せれば県民の見方もあらたまろう。