2018年5月13日(日)

▼三重県のホームページ(HP)「県民の声」に、外国人に対する差別的表現が含まれていると指摘された問題で、県民の声相談監が「不快に思われた方には申し訳ない。寄せられた意見に差別を助長する表現がないか、改めて精査していく」。ハトが豆鉄砲を食ったようなコメントが外国人差別問題に対する県の取り組みのお粗末さを浮き彫りにしている

▼外国人への不当な差別的言動の解消に「(地方公共団体は)地域の実情に応じた施策を講じるように努めるものとする」―が一昨年6月に施行されたヘイトスピーチ解消法。「県民の声」には日系ブラジル人や中国を誹謗中傷するかの表現が五、六年掲載されたままだった。「不快に思われた方」に謝罪する次元の話ではない

▼反差別・人権研究所みえの調べでは同法を職員に周知したのが5市3町で職員研修をしたのが3市、住民講習会は1市。県人権条例は市町の人権を尊重する社会の実現に向けて、県は協働し助言することとされているから、市町の法の要請への不満足な実態は共同責任でもある

▼同法の正式名称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」。県人権課が昨年、HPに「『ヘイトスピーチ対策法』の施行から1年になりました」というお知らせを掲載した。文中では、同法の略称は「ヘイトスピーチ解消法」。法への関心の薄さを象徴してはいないか

▼県の順法責任が問われているのだ。「精査していく」としながら意見自体は非公開にした。「臭い物にフタ」は相変わらず素早いということでなければ幸い。