▼3月15日から始まった民泊営業の届け出に、応じたのはこれまで八件。県食品安全課は民泊がなくても「県内の宿泊施設は十分」とする一方で「宿泊者に多様な選択肢を与えられる」。宿泊業者に気を遣いつつ、観光振興も図りたい。模様眺めということか
▼県の条例制定が受け付け後の22日。まさに泥棒とらえて縄をなうだ。有識者による懇話会も、昨年11月会合になっても一向にまとまりがない。国策や文化交流のため推進すべきという意見と、安全・安心が守られるのか、厳しい旅館業法から一転した規制の緩和に戸惑うばかりなどの議論が平行線で交わる気配はない
▼議論は制限の視点が主だとしてになっているとして、優良民泊認定制度など、健全運営へ誘導する制度創設の提案に事務局は「まずは制度を走らせてから考えていきたいテーマ」。適切な運営がされているかしっかりと見ていくというのだから、民泊の方向性などは考えてもいないに違いない
▼届け出への案内も、条例については「制限」を知らせているだけ。学校・保育所等の周辺地域百メートル以内は禁止されるほか、住宅専用地域は、土日曜祝日はだめ。住宅専用地域こそ民泊の効用があるのではないかという指摘に、県は、市域全体が住居専用地域ではない、全体からすれば限られている、とにべもない
▼「多様化す宿泊ニーズに対応ことは大変重要である一方で、関係団体など現場でしっかり頑張っていただいている皆さんとしっかり意見交換をしながら進めていく」と鈴木英敬知事。「しっかり」がどちらにウエートがあるか明らかだ。