2018年4月19日(木)

▼ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」への参加を発表して、津市の前葉泰幸市長は「大勢は決した」と、ついに白旗を揚げたのだという。サイト運営側に支払う業務委託料に抵抗して導入を見送っていたのだが、ご本人は勝負をしてきたつもりらしい

▼ふるさと納税の商品引換券の取り扱いと、市民への返礼品贈呈を取りやめて昨年7月、「本当は『感謝の品なし』が一番きれいな形」とコメント。その上で返礼品を21品目追加し、寄付総額は「増えると思う」と前年度比倍増以上の4400万円と見込んだ。結果は約500万円下回る同1100万円

▼〝惨敗〟は、おっしゃる通りに違いない。が、その相手は、果たしてサイト運営側なのかどうか。前葉市長を筆頭に、津市がサイト運営側と、ふるさと納税の寄付者争奪戦を繰り広げた形跡はない。寄付希望者をいかにサイトに引き寄せるか、運営側が懸命にノウハウを蓄積しているのに対し、津市はどんな努力をしたのだろうか

▼四日市市が平成27年度の寄付受入額約940万円に対し市民の税控除額が同1億3900万円となって非常事態宣言を出したのが昨年4月。津市の受入額と市民の他自治体寄付額の差は1億9千万円だから、四日市市の焦りを横目にまんまと同じ轍を踏んだことになる

▼ポータルサイト導入で「利便性が向上し、全国的にPRできる」と前葉市長。勝負というより、利便性向上に思いが至らずに風見鶏を決め込んだ誤算、政策ミスだったのではないか。せいぜい独り相撲を繰り広げて、自らこけたということかもしれない。