伊勢新聞

2018年4月16日(月)

▼伊勢市の県道で、路線バスが石灯籠に接触し、落下した上部に当たって歩行者が死亡した。県は傾きやぐらつきなどの安全性調査を本年度は早期に始め、新たに灯籠と車道の距離も調べるという

▼いつになく迅速な。バスの運転手は「灯籠があるのは分かっていたが、確認不足でぶつかった」と話しているが、けしからんと管理・運行状況などを調べることはしないらしい。責任問題を争えば、長年不法占有を放置してきた道路管理者の県もまったく無傷とはなりにくいからか

▼石灯籠問題も古くて新しい問題。許可した昭和30年は車も少なかったろうし、32年度から始まった不法占有だが、伊勢の景観にマッチしていると人気もあった。車の通行が増え、狭い道路に危険だなどの声が出てきたころは設置団体も解散して権利承継が分からなくなっていた

▼平成24年度の包括外部監査で、20年度に刻銘者の調査しただけで以後何もせず、不法占用を放置していると指摘された。県は翌年度に全石灯籠の安定性調査をし、ぐらついている9基を撤去。「継続して調査・点検。通行者の安全を確保していきます」と回答している

▼外部監査報告は「信頼できる第三者へ譲渡してもらって占用許可をするという解決も」と提案したが、県は「許可対象は、維持管理を恒久的に担える地方公共団体」と拒否した格好。委託しようとした公益法人が内紛や乱脈経理で、取り消さざるを得なくなった苦い体験を引きずっていると見られる

▼市民の6割は維持派と聞くとして、鈴木英敬知事は当時「安全面の配慮はしっかりと」。