伊勢新聞

2018年4月13日(金)

▼「現在、あなたはどの程度幸せですか」で始まる「みえ県民意識調査」の質問が何とも間が抜けて感じるのは毎度のことだが、4年ぶりのマイナス。とりわけ緊縮財政の中で重点施策としてきた「スポーツ推進」が、重要度を尋ねた19施策のうち18番目だった

▼「仮に国体への機運が盛り上がっていないのであれば大きな問題」と認めざるを得なかった鈴木英敬知事の胸中は察して余りある

▼何しろ、一つ上の17番目が「人権尊重・ダイバーシティ社会の推進」。うち人権尊重は、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消推進法、部落差別解消推進法の人権関連3法が成立したことに伴う市町の取り組み状況を昨年5月、反差別・人権研究所みえが調査した。講演会など住民への法の啓発活動をしていない、予定もないのがそれぞれ6市13町、11市15町、8市14町

▼知事が事あるたびにアピールしている「スポーツ推進」が、はるかに軽視されている「人権尊重」より低位というのは、啓発の問題だけと言えるかどうか

▼共同通信加盟社論説委員会議で数年前だが、日本オリンピック委員会の選手強化責任者から話を聞いたことがある。東京五輪のメダル獲得に向けて、レベルアップがいかに難しいかを聞いて「そんなにしてまでなぜ東京で開催するのか。返上の道はないのか」という質問が出て講演者を絶句させた

▼テレビ、新聞がこれでもか、これでもかと〝五輪報道〟を続ける中で、冷ややかな地方の目を感じた。国体に向けてのなりふり構わぬ施策への県民の冷ややかな目は少なくないのかもしれない。